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「土、付いてる。さっき地面に落としたから……」
みちるちゃんは目を細めて指摘すると、伸ばした指の背で俺の頬を拭った。
そのくすぐったさに思わず片目を瞑る。
「みちるちゃん、俺……」
クスクスと微笑を揺らすみちるちゃんを見つめる。
君の事が、やっぱりどうしようもなく好きだ。
そう伝えようとした瞬間。
みちるちゃんは俺の緊張を察知したのか、身構えるように手を引っ込めて、表情を強張らせた。
……そうあからさまに警戒されると、傷付くな。
「……炭酸、大好き。よく分かってるね、俺の好み」
ふっと目で微笑んで小さな傷を隠し、大好きなものをすり替える。
本当は、炭酸ってちょっと苦手。
喉の辺りから胸が、苦しくなるから。
今なんてもう、飲む前からこんなにも苦しいのに。
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