声を聞かせて

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珍しく優しい清吾の言葉に目を潤ませる。 「情けない顔。手短にね」 清吾は呆れたように目線を天井に投げ、短く息を吐いて言った。 「……振られたんだ、俺」 「あ、そう。残念だったね。元気出しな。もう行っていい?」 棒読みの慰めの言葉を残し、さっさと立ち去ろうとする清吾のシャツの裾を手早く掴んで引き留めれば、肩越しに振り返った清吾は忌々しげに俺を横目で睨んだ。 「今更、何を落ち込むわけ?みちるが誰を好きなのかも、右京を鬱陶しく思ってる事も、初めから分かってたんじゃないの」 “鬱陶しく思ってる”。 ……やっぱり。 十分自覚はあったつもらだけど、端からもそう見えると思うと、やっぱり落ち込んでしまう。  
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