不機嫌な瞳に恋してる。

声を聞かせて

「勿論、分かってたよ」

ははっと力無く笑い、それを口元にうっすらと残して、どこというわけでもない１点をぼんやりと見つめる。

「なら……『右京なんて大嫌い。近寄るな、うざい。死ね』とかボロクソに言われた？」

薄ら笑いを細めた目に湛えた清吾は、からかうように言う。

「そんなの……言われ慣れてる」
「……あ、そ」

清吾は少しつまらなさそうに、そして呆れたように短い嘆息を漏らして相槌を打った。

「じゃあ、何が理由でそんなに沈んでるわけ。いい加減、鬱陶しいの通り越して殺意が……」

向けられた笑顔には、痺れを切らした清吾の苛立ちが、隠されるどころかだだ漏れで。
身の危険を感じて縮み上がる。