声を聞かせて

5/23
前へ
/263ページ
次へ
「……みちるちゃん、宇佐美に告白したんだって」 「……へぇ」 興味なさそうな声で頷きながらも、清吾は何故か意外そうに目を丸くした。 「みちるちゃんは宇佐美の事が好きだって頭では理解してて、それでもいいって思ってた筈なのに……いざ、宇佐美のものになるんだって思ったら……」 心はざわめいて、焦って、そして軋んだ。 それでもいい、なんて全然思えなかった。 いつの間にか、少しずつ縮む距離に、淡い期待を抱いてしまっていたのかもしれない。 いつか、もしかしたら、宇佐美に向けるような笑顔を、俺にも向けてくれるんじゃないかって。 「あの2人……付き合うって、そう言ったの?」 訝しげに顔をしかめて尋ねてくる清吾の反応は、さっきからなんとも意味ありげで、不思議に思いながら頼りなく頷く。  
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14261人が本棚に入れています
本棚に追加