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「一言、いい?」
向けられた、凍てついてしまいそうなくらい冷たい目に気圧され、恐怖を感じて竦み上がりながら小刻みに頷く。
「ばっかじゃないの」
声を荒くする清吾の、いつものような小馬鹿にしたものではなく、怒りのこもった一言に驚く。
「みちるの話もちゃんと聞かないで、怖くなって逃げてきた?それで、1人うじうじ思い悩んでんの?」
慰められる事はないと思っていたけど、まさか責め立てられるとも思っていなくて、ぐっと言葉を詰まらせる。
「こ……恋もしたことない清吾には、分かんないよ。あの時の俺の気持ちなんて」
売り言葉に買い言葉みたいに突っぱねるように言ってしまったけれど、こんなのただの八つ当たりだとすぐに悔やむ。
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