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「あぁ、分からないね。だけど、右京には見えてないものが俺には見えてる。自分だけが辛いって思ってない?それを打ち明けようとしたみちるの気持ちも考えてみた?」
清吾は捲し立てるように言って、細めた目で俺を睨んだ。
「……あの2人は、絶対に付き合わないよ」
何も答えられずに立ち尽くす俺に呆れ果てたのか、それとも少しばかり感情的になった心を落ち着かせる為か、清吾は嘆息と共に肩を落として俯き、ひと息置いてからそう呟いた。
「……え」
殆ど呼吸のような声が空気を震わせる。
ひたすら見張った目で、「なんで」と清吾を問い質す。
「宇佐美にはもうずっと、忘れられない人が居るから。みちるはそれを知ってるし、その相手には敵わないって思ってる。思ってるからこそ、みちるはその人を超えられないんだろうけど……」
勢いよく立ち上がり、掴みかかる勢いで清吾に歩み寄った。
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