声を聞かせて

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  形振り構わずひたすら走って、やっとの思いでみちるちゃんの家の近くまで辿り着く頃には、息も絶え絶え、走っているというよりも足を引き摺っていると言った方が正しかった。 あと少しという所で立ち止まり、その場にうずくまって息を整える。 それにしても、自分の体力の無さが恨めしい。 こんな距離、涼しい顔をして走り抜けて彼女の前に立ちたいのに、上手くいかない。 大した努力もしないで、大概の事は思い通りに上手く進んで つまらないと嘆いていた日々が嘘みたいに。 今の自分は情けなくて、格好悪い。 だけど、なんだか心は満たされているから不思議だ。 夕暮れに染まる街は、確かにキレイで…… キラキラとまばゆい程、美しい色に溢れている。 モノクロだった世界は、いつの間にか、こんなにもカラフルだ。 乱れていた呼吸も落ち着いてきて、あともう少しだと、重くなった足を踏ん張って体を起こす。 そして顔を上げれば、その先には心配そうに様子を窺うみちるちゃんの姿があった。 「倒れてるのかと思ったじゃない」 沈みゆく夕日を背負っているせいか、その輪郭は逆光に照らされて曖昧で。 幻想的に浮かび上がるみちるちゃんの姿に、夢見心地で息を飲んだ。  
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