不機嫌なあの子

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「じゃあ、なんで追い掛けようとするの?」 「や、それは……」 あはは、といつもの調子で笑うつもりが、固まってしまう。 俺にも、その理由が全く分からないから。 「それは、ホラ……1年生にはちょっと刺激が強すぎたんじゃないかなーって、心配になったっていうか!」 それらしい理由を見繕いおどけて言えば、女の子は訝しげに目を細めて、見定めるようだ。 「ふーん……あの子、1年生なんだ?」 あっ、とさっき作った笑顔が瞬時に強張る。 「……右京は、来るもの拒まず去るもの追わず、って考えだと思ってた」 まるで試すように、女の子は俺をまっすぐ見つめて呟いた。  
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