声を聞かせて

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「触発されちゃったじゃない」 「……え」 荒っぽく投げられた言葉には思いがけず角がなくて、慌てて見張った目を上げ、みちるちゃんの表情を探った。 その口の端にはうっすらと笑みが浮かんでいる。 「ただ単純に、嬉しかったから。右京が、私を好きだって……そう言ってくれたこと。宇佐美も、せめてそんな風に思ってくれるかなって、伝えたくなったの」 俺の気持ちを嬉しいと、そう思ってくれたことが嬉しくて堪らない筈なのに。 何でだろう。 胸が苦しくて上手く笑えない。 「もしかしたら上手くいくかも……なんて期待も、本当はかなりしてたんだけどね」 振り返ったみちるちゃんは、繕うことなくそう言って、自嘲するように笑ってみせる。 返す言葉に詰まっているうちに、小さな公園に辿り着いた。 すっかり日も暮れて薄暗くなったそこは人気がなく、遊具が寂しそうに佇んでいる。 みちるちゃんはブランコの方へゆっくりと足を進めると、錆び付いた鎖を握り締めた。 涼しげな音を立て、ブランコはぎこちなく揺れる。  
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