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「宇佐美にぶつけられない葛藤を、右京にぶつけたの」
『ウザッ。死ねば?』
初めて出会った日の、あの凍てつくような冷たい声がよみがる。
だけど、あの一言がなかったなら、俺は今でも自分の理想のくだらなさに気付けずにいただろう。
「……気にすることなんて何もないよ。そのおかげで俺は、もっと大事なものを得ることが出来たんだから」
ふっと目を細めれば、みちるちゃんは戸惑いを揺らした目で俺を見返してから、困ったように視線をさ迷わせた。
「それに……」
そう続けると、彼女の猫目は再び俺を捕らえる。
「みちるちゃんに『馬鹿じゃない』とか冷たくあしらわれるの、嫌いじゃないんだよね」
沈んだ空気を振り払いたくて、おどけるように笑ってみせた。
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