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「だけど……スッキリした。悲しくないわけじゃないけど、ストンと胸のつっかえが取れたみたい」
ブランコから勢いよく立ち上がると、みちるちゃんは清々しい面持ちで伸びをした。
きっと、彼女の言葉に嘘はないけれど、本音ともまた違うんだろう。
それが分かるのに、彼女の心の声を、全て引き出して聞いてやる事が出来ない自分がもどかしい。
「右京?」
無力な手を睨んで立ち尽くす俺を、みちるちゃんが不思議そうに呼ぶ。
「なにボケッとしてるの。置いて帰るわよ」
それなのに俺ときたら、みちるちゃんがこうして立ち止まり、振り返ってくれる事で、当たり前のように名前を呼ばれる事で、こんなにも満たされてしまっている。
俺ばかりが幸せで。
「今行く」
もっと、君にも笑っていて欲しいのに。
どうしたら、笑う?
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