繋ぐもの

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  「宇っ佐ー美くーん」 じりじりと太陽が照り付け、コンクリートの床を焦がす。 そんな中、ちゃっかりと僅かな日陰を陣取っている宇佐美に声を掛けた。 宇佐美は頭を反り返らせて声の正体を探る。 「ちょっとぉ、お話があるんですけどぉ」 目が合い、声色を変えてもじもじして言う。 「……可愛くないですよ、右京さん」 せっかく可愛く言ってやったのに、冷めた目で一刀両断する宇佐美に、さすが清吾の友達だと感心する。 皆して、思いやりというものをどこかに落としてきたみたいに冷たい。 「……授業、始まってますよ」 「知ってる」 にこりと笑って答え、背中を向けて宇佐美の枕元に勢いよく腰を下ろした。 「サボっちゃっていいんですか」 大して気にもしてないクセに、宇佐美は俺がここへ来た意味を探るように、言葉を紡ぐ。  
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