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「いーのいーの、俺頭いいから」
青い空を仰ぎながら、あははと笑い飛ばす。
「それに、君だっていっつもサボってるじゃない」
空を仰いだまま、横目に宇佐美の姿を映してみても、その表情までは読めなかった。
「俺は……」
「いつも体育の授業だよね、サボってるの。何かあんの?」
開きかけた宇佐美の口を、質問で閉ざす。
「……虚弱体質なんで」
しばらく考えるように間を置いたと思うと、なかなかセンスのない答えが返って来たから、空々しく笑う。
「嘘ばっかりー。ちゃんと鍛えたイイ体してるのに。……って、俺が言うと、なんかヒワイに聞こえるね」
もう一度あははと笑って、それが空に溶けると、しんと重い沈黙が生まれた。
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