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「……足が」
そしてその沈黙を破ったのは、意外にも宇佐美の方だった。
てっきり、俺の余計な詮索なんて、惚けて上手くかわすものだと思っていたから。
「思うように動かないんで」
何かワケありだという事は大体予測がついていたけれど、続いた言葉は思った以上に重く響いた。
……背を向けていて良かった。
自分の足まで鉛のように重く感じられて、そっと擦りながら思う。
こういう時、どんな顔をすればいいのか、分からないから。
「へえ。なんで?」
そのくせ、小さな動揺を隠して、淡々と尋ねる。
「……そういうのって本来、遠慮して控えるとこじゃないですか?」
そんな俺に、宇佐美はすかさず呆れたようにそう切り返した。
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