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「宇佐美も、戦ってるんだね」
「え……」
そう一言、ぽつりと呟くと、宇佐美は見張った目をこちらへ向けた。
「ん?」
その眼差しの意味が分からずに首を傾げる。
「あ、いや……そんな風に言われた事がなくて」
戸惑いを浮かべながらそう言って、宇佐美はゆっくり前を向き直る。
「そう?……宇佐美の痛みは、何も知らない俺には当然計り知れなくて、気の利いた言葉ひとつ掛けてやれない。掛けたところで、慰みになるとも思わない」
きっとまだ、宇佐美の中では何も終わっていない。
詳しくは分からないけど、今も痛みを抱えている。
だから、ここに居る。
それなのに、「大変だったな」「辛かったな」なんて、もう済んだ事のように言葉を並べるなんて出来ない。
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