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「皆、足掻いてるんだよなぁ。見えない所で、見せないだけで。戦ってるんだよ、自分自身と。……だから、もうこれ以上詮索したりしないから」
へらっと笑えば、宇佐美は静かに目を細めた。
「右京さんって、変」
……“変”。
決して誉められた言葉ではないのに、その穏やかな表情を見ていると、馬鹿にされているようにも、嫌味にも思えなくて、なんだかくすぐったくなる。
「そ?みちるちゃんにはよく馬鹿って言われるー」
おどけて笑ってみせると、宇佐美がははっと小さな笑いを返す。
2人して空を見上げれば、心地よい風が吹き抜けていく。
……って、なんだ、このまったりした空気。
打ち解けてどうすんだ、俺。
今日はガツンと決めに来たのに。
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