不機嫌な瞳に恋してる。

繋ぐもの

「右京さんは、俺がみちると付き合ってもいいんですか？」
「良いわけないよ」

間髪入れず、にっこりと笑って当然のように答えれば、宇佐美は「即答」と笑いを噴き出す。

「でも、みちるちゃんが幸せなら身を引くよ」

続けた言葉に、さっきまであった笑みが宇佐美の顔からすっと消えた。
代わりに今度は俺が微笑を漏らす。

「……なんて、そんな綺麗事は言わないけどね。でも、好きな人には笑ってて欲しいんだよね。俺が笑わせてあげられないなら、せめて笑わせてあげられる人が彼女の傍に居て欲しいんだ」

きっと、その笑顔を見たら胸が痛むんだろうけど。
それでも笑っていて欲しいと思うんだから仕方ない。

だけど、やっぱり綺麗事かな、と苦笑する。
頭で考えるのと、心で感じるのとではあまりにちぐはぐだと、恋をして知ってしまったから。