繋ぐもの

12/31
前へ
/263ページ
次へ
「その役目に相応しいのは、きっと俺じゃないです」 「そんな事……」 絶対にない。 だって、彼女はいつだって、幸せを噛み締めるようにその隣で笑っている。 柔らかい、優しい目で宇佐美を見つめている。 彼女の幸せは宇佐美に直結してるんだ。 「笑うだけが幸せの形じゃないんですよ、右京さん」 切なげに笑う宇佐美の言葉を理解できず、探るようにじっとその瞳を見つめる。 けれど、答えは微笑ではぐらかされてしまった。 「……居眠り運転だったんです」 唐突に切り出されたのは宇佐美の過去だ。 再び、傷などない筈の足が疼き始める。  
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14261人が本棚に入れています
本棚に追加