繋ぐもの

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「あの日、あの時、あの場所に居なければ。時間が経っても、消えないんです。あの苦しみも、痛みも、後悔も、全部刻み込まれてる。彼女の未来は絶たれたのに、俺にだけは残っているなんて……。俺だけのうのうと幸せに生きるなんて」 淡々と話すその声に、やるせなさと怒りが灯っている。 あぁ、宇佐美は捕らわれているんだ。 彼女を失った悲しみに。 宇佐美はずっと、こうして自分を責めてきたんだろうか。 自分だけ前には進めないと、自分の傷が癒えていくのを許さずに、本当は治っている足を動かないと言い聞かせて。 「それでも、宇佐美は生きてるんだよ。前に進まなくちゃいけないんだ」 無神経な言葉に聞こえるかもしれない。 だけど、気付いて欲しい。 どんなに心身の傷が癒えても、こればかりは時間は解決してくれない。 「宇佐美が受け入れるしかないんだよ。受け入れて、生きていく覚悟をしなくちゃ」  
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