14261人が本棚に入れています
本棚に追加
「な、に……追い掛けて来てんの、みちるちゃん」
夢のようで夢じゃなくて。
確かに目の前に、みちるちゃんが立っている。
「だっ、て……右京の方が、泣きそうな顔してる」
小さな体を上下に小さく弾ませ、呼吸を整えると、みちるちゃんは眉をひそめて言った。
そして俺の頬に伸ばした手を、俺は拒絶するように顔を背けて避けた。
「そう?気のせいだよ。僕、そんなに泣き虫じゃないし」
あはは、と笑ってみせるけれど、ちゃんと笑えているのか不安だ。
顔が引き攣っている気がする。
「嘘。右京はいつもそうやって本音を隠す時は“僕”って言うの、知ってるんだから」
目を見張り、ずばり言い当てたみちるちゃんの方をゆっくりと振り向いた。
最初のコメントを投稿しよう!