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「そうだ。ねぇ、デートしようよ」
気まずい雰囲気を振り払うように、わざとおどけて言う。
「水族館とか動物園とか、遊園地もいいね。どこか気分転換が出来るような所」
「気分、転換……?」
みちるちゃんはおずおずと視線を上げて訝しげに尋ねてくる。
「これでも一応、受験生だからさ。何気に受験勉強、頑張ってるんだよ?でも、勉強ばっかじゃ息が詰まるでしょ。息抜き、息抜き」
思い付きで言った割にはそれらしい言い訳で、みちるちゃんも納得したようだった。
だけど、すんなりと頷いてくれるわけもなく、表情にはまだ迷いがある。
「これが……最後だから、さ」
話を逸らす為に持ち出したデートの筈が、必死になってせがんでいる自分に気付く。
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