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「最後……」
少し驚きを滲ませた声で、みちるちゃんが呟く。
それは、問うようにも聞こえた。
「うん。受験勉強も本腰いれなくちゃいけないしね。それに、県外の大学に進学するつもりなんだ。そうしたらもう、会えないじゃない?」
何一つ嘘はないのに嘘っぽく聞こえるのは何故だろう。
……あぁ、下心があるからだ。
少しでも、俺が離れていく事を寂しく思って欲しいって。
欲にまみれた真実は、薄汚くくすんでしまうんだ。
「……いいわよ」
しばらく黙り込んでいたと思うと、顔を上げたみちるちゃんはまっすぐ俺を見つめて言った。
続いて俺も、気まずくて俯いていた顔を、勢いよく上げる。
「え……えっ!本当に!?だって、デートだよ?2人きりで出掛けるって事だよ?」
信じられなくて、夢のようで。
思わず身を乗り出して、食い付くように尋ねる。
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