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「……水族館」
「え」
少し不自然な仕草に気を取られてしまったせいか、みちるちゃんの呟きを逃してしまった俺は、聞き返すように一言落とした。
「何よ、私の行きたい所でいいんでしょ」
それをどう受け取ったのか、みちるちゃんは不服そうに俺を見上げて睨む。
「それは、勿論。ごめん、よく聞こえなかったんだ」
申し訳なく思って眉を下げて笑うと、みちるちゃんの目から鋭さが消えた。
「水族館……が、いい」
目を伏せるみちるちゃんはどこか恥ずかしそうで。
だけど、それを隠すように唇を尖らすと、ぶっきらぼうに繰り返した。
今度こそしっかりその呟きを拾って、「いいね」と笑う。
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