繋ぐもの

29/31
前へ
/263ページ
次へ
それから、トントン拍子に話は進んで、デートの日取りと時間が決まった。 早く当日にならないかな、と願うくせに、今、この時間を終わらせたくないと強く思ってしまう。 だけど話題が浮かばなければ言葉も続かなくて、浮わついた沈黙。 「あー……、じゃあ、楽しみにしてマス」 「うん」 限界を感じてそう締めくくると、みちるちゃんは小さく頷いた。 無理矢理まだ絡めていた小指も、とうとうゆっくり解けてしまう。 ……あーあ、離れちゃった。 やけに寂しく感じる、さっきまで繋がっていた小指にこっそりと視線を落として思う。 「それじゃ、またね」 そう言って踵を返すみちるちゃんは、今からまた、宇佐美の居る屋上へ行くのだろうか。 ……いや、行くに決まってる。
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14261人が本棚に入れています
本棚に追加