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なんだかさっきから、そわそわと落ち着かない。
ただ、隣にみちるちゃんがいるというだけなのに。
微妙に空いた2人の距離が寂しいけれど、ホッとする。
そんな、複雑な気持ち。
上がる一方の心拍数に、「平常心、平常心」と心の中でひたすら唱える。
「右京!もうすぐアシカショーだって!!」
心ここにあらず、といった俺のシャツの裾を、みちるちゃんが興奮気味に引っ張って言った。
「行く?」
「っ、……うん」
一瞬、ぱあっと表情を明るくさせてから、ハッとしたみちるちゃんは声を抑えて頷いた。
……可愛い。
いつになく、はしゃぐみちるちゃん。
嬉しそうな顔も、ばつ悪そうにそれを隠そうとする姿も、全部。
目を細め、口元を緩ませるみちるちゃんを映して笑うと、それに気付いたみちるちゃんは不服そうに俺を睨み上げた。
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