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「美味しい!」
口一杯に頬張りながら感嘆の声を上げる。
時折吹く海風が磯の匂いを運んでくるここは、水族館に設けられたテラスだ。
多くの家族連れがテーブルでお弁当を広げてランチタイムを楽しんでいる。
まさか、自分もその中に紛れて、みちるちゃんの手作り弁当を食べられる日が来ようとは……!
「良かった」
幸せを噛み締める俺の向かいで、みちるちゃんは安堵の笑みを浮かべると、続くようにおにぎりを口に運んだ。
「……っ!やばい、幸せっ!!」
噛み締めきれずに小さく叫ぶと、みちるちゃんはくすくすと笑う。
「大袈裟。そんなに喜ばれちゃうと、大したおかずも入ってないし、なんだか逆に申し訳ないんだけど」
謙遜するみちるちゃんのお弁当には、ほんのり甘い玉子焼きとからあげとポテトサラダが並び、隙間を埋めるようにブロッコリーとプチトマトが色を添えている。
これぞ定番といったメニューは、しっかり俺のハートを鷲掴みだ。
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