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昼食を終え、「そろそろ行こうか」と立ち上がったところで、ハッとした。
この場合、手は繋いじゃっていいんだろうか。
自然と伸びかけた手を慌てて引っ込める。
さっきは、人込みの中ではぐれないようにと、れっきとした理由があったわけだけれど……
手を繋いだ時の、沸き立つような甘い胸苦しさを思い出しながら、空気を掴む自分の右手に視線を落とす。
そして、今度はそれを、盗み見るじゃないけど、みちるちゃんの方へそろりと移した。
「あっ!荷物、持つよ」
鞄を肩に掛ける姿を見付けて、慌てて声を掛ける。
ただでさえ小さなみちるちゃんを更に小さく見せる、やけに大きなバッグ。
会ってすぐにも同じように申し出たけれど、断固拒否されてしまった。
すんなり持たせてくれるとは思っていなかったけど、お弁当が入っていたから尚更、頑なだったのかもしれない。
そう思っての再挑戦。
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