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なんて言うか、大袈裟かもしれないけど、今日は今まで生きてきた中で、一番満たされた一日だった。
些細な事でもドキドキして、今までなかったような緊張を覚えて、時々空回ったりもして。
全然スマートには決まらなかったけど、忙しくて楽しくて幸せな時間。
時間がこんなにもあっという間に過ぎていく事を、これまでの俺は全く知らなかった。
こんなにも“最後”が悲しくて、切なくて、寂しくて……名残惜しいと思う事も。
昨日より今日の方がずっとみちるちゃんに恋している。
きっと、明日は今日よりも恋い焦がれるんだろう。
「好きだよ」
帰り道。
水族館を出た時には陽が暮れ始め、朱色に染まっていた空はもう、濃紺色に塗り替えられてしまった。
ちらちらと明るい星が姿を現して瞬く空の下、なんとなく会話が途切れて生まれた沈黙。
さあっと吹き抜ける少し冷たい風が、俺のごちゃごちゃした気持ちを全部持ち去っていったみたいだ。
気付けば、唯一残った根底にある気持ちを口にしていた。
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