ラストデート

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「そうだね。……ごめんね」 口から出そうになる言い訳を飲み込んで、胸が詰まる思いでアスファルトを見つめる。 「別に、……っ。……せいせいするわ」 こんな時でも、返ってきたみちるちゃんらしい答えに安堵して、笑みが零れてしまう。 そんな俺の横をすっと、みちるちゃんの影が通り過ぎて追い越す。 「わざわざ送ってくれなくても、ここでいいわ。もう家もすぐそこだし」 あからさまに冷たくなった声と態度。 初めて会った時の事を彷彿とさせるのに、あの時みたいに胸は弾むことなく、ただしくしくと痛む。 「すぐって……みちるちゃんの家、まだ大分先でしょ。もう暗いし、独りで帰すわけにはいかないよ」 「なら!」 突き返すように言葉を遮って、みちるちゃんは荒っぽく声を上げた。  
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