14263人が本棚に入れています
本棚に追加
「宇佐美も来てくれた事だし、……それじゃあ、俺はここで!」
それでも笑わなくちゃと、口角を無理矢理引き上げて、明るい声を弾ませる。
空っぽの俺の中で、自分の声が虚しく響く。
何の反応も示さないみちるちゃんと、いびつな笑みを貼り付けた俺に挟まれて、状況を把握出来ていない宇佐美は困り顔だ。
「……今日は、ありがとう。楽しかった」
なんか、最後の最後に全部を台無しにしちゃったけれど、と心の中で苦笑いする。
相変わらずみちるちゃんは振り返る素振りも見せなければ、黙りを決め込んで、宇佐美の腕の中だ。
「それじゃ、バイバイ」
諦めると決めても、そんな2人の姿を直視なんてとても出来なくて。
逃げるように視線を地面に落として別れを告げ、踵を返した。
バイバイ。
これで、終わり。
終わったんだ、何もかも。
最初のコメントを投稿しよう!