不機嫌なあの子

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近付いて来るなら来ればいいし、去っていくなら行けばいい。 俺もそれ以上を求めちゃいないから。 女の子たちの興味も一時で、飽きたらさっさと去っていくし、また退屈したら俺のところへしのぎにやって来る。 それで良かったし、そんなもんだと思ってた。 お互いが暇潰し。 ビジネスみたいな関係。 だからこそ割り切って、楽しく笑っていられるんだ。 だけど中には、割り切る事が出来ずに“特別”を求めてくる子もいる。 そういうのは本当に厄介だ。 付き合ってみた事も何度かあるけれど、決まって独占したがって、そこには必ず制限が生まれた。 何にも楽しくなんかなくて。 どんどん世界は色褪せていって。 心は渇いていく一方だった。 だから、ヤバいかなと思ったら、熱のこもった視線に気付かない振りをして遠ざけるようにした。 無駄だよ、無理だよって態度と空気で訴えて。  
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