不機嫌な瞳に恋してる。

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「あげる」 そう言われ、受け取ろうと伸ばした手が、微かに白い手に触れてドキドキしていると、その中に潜んでいた正体不明の何かが滑り込んできた。 「御守り。受験、頑張りなさいよね」 相変わらず、つっけんどんな物言いだけど、照れ隠しだと分かって目を細める。 「それじゃ、帰るわ」 もう隠すつもりもなくて、貰った御守りをにやにやしながら見ている俺に、みちるちゃんは告げた。 慌てて顔を上げ、「送ってく」と引き留める。 「まだ明るいから大丈夫。受験生を連れ回して、風邪でも引かれたら大変だもの」 「そんなヤワじゃないよ」と笑って返すけれど、彼女は首を横に振って拒む。  
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