不機嫌な瞳に恋してる。

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嬉しそうに、恥ずかしそうに、はにかむその笑顔には見覚えがある。 宇佐美に向けられて、俺には決して向けられなかった表情。 とくん、とくんと熱いものが胸を打つ。 俺の勘違い? 自意識過剰? なんでもいいや。 その笑顔をずっと、真正面から見たかった。 「私、右京のことが好きみたい」 ぶわっと、足元から何かが湧き出るみたいな、そんな感覚だった。 心臓は早鐘を打って、体は一気に上気する。 頭の中は真っ白。 これは、夢? 刺すような寒さが見せる幻覚? なんでもいい。 今、みちるちゃんを抱き締めたい。 のに、体は動かない。 ダサいくらい緊張してて、少し手が震えてる。 「今度は私が右京を追い掛けるから、待ってて」 晴れ晴れとした顔でみちるちゃんはそう言うと、俺の答えを待たずして走り去ってしまった。  
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