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「げっ!まだ居る!!」
迷惑そうな声が上がって、馳せていた思考を取り戻した。
項垂れていた頭を上げ、目の前に立つ人物に焦点を合わせる。
そこに居たのはさっき追い掛け損ねた、やっぱり不機嫌そうな彼女だ。
「そこ、退いてくれない」
彼女の緩やかに尖った顎が背後にある、屋上へと続くドアを指した。
「屋上は立ち入り禁止だよ」
そう示唆しながら体を横へずらし、塞いでいたドアへの道をあける。
すると彼女は大きく1歩、跳ねるように踏み出して俺の隣に立つ。
そして生意気な笑みを湛えた目を細め、見下ろして言った。
「案外つまらない事言うのね」
「!」
馬鹿にしたような言葉に面食らっているうちに、彼女は捻ったドアノブに体重を掛け、重たいその鉄扉を押し開けた。
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