不機嫌な瞳に恋してる。

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躊躇いがちに背中に回る手。 一方的に抱き締めた事はあったけれど、今度はちゃんと答えが返ってくる。 それが嬉しくて、壊れちゃうんじゃないかってくらい、きつくきつく抱き締める。 1ミリも離れていたくない。 高鳴る鼓動が胸を締め付けて、甘い痛みが広がっていく。   「好きだよ、みちるちゃん」 耳元で囁くと、「知ってる」とくぐもった声が返ってきて、みちるちゃんは俺の胸板を押した。 引き離される体に名残惜しさを感じている俺を、みちるちゃんは少し潤んだ目で見上げる。 「私も、好きよ。右京が、好き」 あぁ、まただ。 足元から、瞬時に電流みたいな感情が体を駆け上がる。 沸き上がるみたいに、咲くみたいに、胸を熱くする。 見つめ返すと視線が絡まって、そして、自然と引き寄せられるみたいに顔が近付いて、やがて唇が重なった。  
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