不機嫌な瞳に恋してる。

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「み、みちるちゃん!?」 背後にその姿を見つけてギョッとして、思わず声をあげる俺を、彼女の軽蔑の眼差しが貫く。 「……合コン。お持ち帰り……」 「だから、違うって!」 責めるように復唱され、慌てて弁解する。 だけど、そんなことよりも。 「なんで、みちるちゃんがここに!?」 「言ったでしょ。今度は私が追い掛けるって。だから……受験、頑張っちゃった」 得意気に言った後、みちるちゃんはいたずらっぽく笑ってみせた。 「なに?桐島、知り合い」 横から茶々を入れようとするサークル仲間に、持たされていたプラカードを押し付けると、みちるちゃんの手を引いた。 「ごめん!俺、帰るわ」 「あっ、おい!」 久しぶりに触れた小さな手にドキドキしながら、呼び止める声も脇目もふらず、駆け出していた。  
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