不機嫌な瞳に恋してる。

26/28
前へ
/263ページ
次へ
「信じて、待ってた。追い掛けて来てくれるって。まさか、同じ大学に入学してくるなんて、夢にも思わなかったけど」 『今度は私が右京を追い掛けるから、待ってて』 あの言葉があったから、待っていられた。 勿論不安もあったけど。 「驚いた?」 楽しそうに笑うみちるちゃんに、頷いて手を伸ばす。 「ギュッてしていい?」 「いちいち聞かなくても、イヤだなんて言わないわ。私は右京が好きなのに。この日をずっと、待っていたんだから」 くすぐったそうにはにかんで、まっすぐに気持ちを伝えてくれる。 初めてしっかりと彼女の心に触れて、居ても立ってもいられなくなった俺は、衝動的にその体を引き寄せ、強く抱いた。 これまで離れていた分を埋めるように、きつく、強く。 これ以上近付けないと分かっているのに、もっともっと近付きたい。  
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14260人が本棚に入れています
本棚に追加