不機嫌な瞳に恋してる。

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「好きだよ」 「知ってる」 くすくすと、素っ気ないようで嬉しそうな声。 「私も、好きよ。右京」 「知ってる」 同じやり取りを交わしながら、見つめ合って笑った。 強い風が吹き抜けて、桜の花びらがぶわっと舞い上がる。 モノトーンでも、カラフルでもない、淡いピンクの優しい世界に隠れて、俺たちは長い長いキスをした。 名残惜しくて額をくっつけ、上目遣いの視線を絡ませると、照れ臭さに2人してまた笑う。 しっかりと手を繋いで、君と過ごすこれからの日々は、一瞬一瞬が特別で、大切で。 あくびをする暇もないんだろうな。  
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