番外編

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「あんまりくっついてくると知らないよ?食べちゃうかも」 本気7割、冗談3割くらいの視線を向ければ、みちるちゃんはまっすぐその猫目で見返してくる。 肯定も否定もなければ、少し鼓動が早くなった息遣いだけがそこにあって。 自然と互いの顔が引き寄せられて、そして重なった。 ひんやりと冷たいキス。 「みちるちゃん、冷えすぎ」 「右京は、引きこもりなだけあってあったかいわね」 「引きこもりって言わないでくれる?単に授業がないだけだから」 額をくっつけて熱を分け合い、視線を絡めて笑い合う。 みちるちゃんが同じ大学に入学してきて、やっと本格的に始まった交際。 時々ケンカもするけれど、穏やかに、そして順調に時は流れて、もう2年目の冬。
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