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「はいはい、そりゃどうも」
そんな彼女のあしらい方など手慣れた様子で、宇佐美は通り過ぎ様に彼女の頭にポンと軽く手を置いた。
その大きな手が彼女の頭をすっぽりと包むと、彼女はほんの一瞬だけ、頬を染めてくすぐったそうに微笑んだ。
「ちょっ、やめてよ!髪がぐちゃぐちゃになるでしょっ!?」
そう抗議する声は嫌がるどころか嬉しそうで。
宇佐美はそれを知ってか知らずか、更に髪を掻き乱した。
「宇佐美っ!!」
彼女の怒号に、ははっと楽しそうな笑い声が重なる。
そうして宇佐美は逃げるように、一足先に屋上を出ていった。
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