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「……みちる」
「へ?」
無愛想に呟かれた言葉が、一瞬何を表しているのか分からず、眉をひそめた。
「名前っ!田崎、みちる」
俺のその反応が気に入らなかったのか、彼女は語気を荒らげて繰り返した。
「……“みちる”」
噛み締めるようにその名をなぞる。
「ちょっ、馴れ馴れし……」
「俺の為にあるみたい」
本気でそう思ってにっこりと笑い、声を上げた。
「はっ!?」
彼女はあからさまに不快を露にして、一層その表情を険しくさせたけれど。
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