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「みっちるちゃーん!」
無駄に明るい笑顔を振り撒いて叫び、グラウンドにいる体操着姿のみちるちゃんに大きく手を振った。
すると、見上げた彼女は答える代わりに、凄味を利かせた表情で俺を睨みつける。
「ははっ」
だけど、それだけでなんかもう十分満足で、笑いまで零れてしまう俺は、おかしいのかもしれない。
「なに、うっきょんってば、嫌われてんじゃん」
からかう声と共に突然、ずしりと背中にのし掛かってきた重みの下敷きになり、俺は机の上に崩れた。
「……うるさいよ、槙ちゃん」
底抜けに明るい声と煩わしい重みの主は悪友の槙 祐司だ。
「いーの、別に」
机に体を押し付けられ、潰された頬をなんとか膨らませて、不貞腐れるように言い返した。
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