それを何と呼ぶ?

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  「うっきょん!」 重ねた腕に頭を寝かせて、ぼんやりと窓の外を眺める俺の背中に呼び掛ける無邪気な声がしたけれど、俺は敢えて振り返る事をしなかった。 「なーに哀愁漂わせちゃってん、のっ!」 それでもめげる事も戸惑う事もせず、声の主は俺の背中を強く叩いた。 「……お馬鹿な槙には分からないよ」 肩越しに小さく振り返って横目で言うと、槙はこれ以上ない程に頬を膨らませた。   「そりゃあ、右京みたいに頭の出来は良くないけどさ」 その素直さにくっと小さく笑って、顔の向きを元に戻した。  
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