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「でもさ、お馬鹿な俺だからこそ、分かる事もあると思うよ?えーっと……ほら!見所が違うっていうの?」
「……目の付け所、だろ」
鼻先で笑って突っ込むと、槙は「にゃはは」と不可解な声で笑った。
「……なんか、変なんだ」
槙の言葉に少しばかり希望を抱いてぽつりと呟く。
「ぽえ?」と間抜けな声が返ってきて、早くも後悔したけれど。
「胸の辺りがモヤモヤ、ムカムカする」
そう打ち明けた途端、無気力感に襲われて、痺れた腕を窓の外へ放り投げて垂らし、更に姿勢を崩した。
帰路につく生徒たちの楽しそうな笑い声が、俺の空っぽの体に響いて虚無感を助長するから、俺はもう一度、深い深い溜め息を漏らした。
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