それを何と呼ぶ?

16/44

14263人が本棚に入れています
本棚に追加
/263ページ
「な、何?どしたの」 勢い余って椅子が倒れ、ガタンッと騒がしい音が生まれると、驚いたように槙が声を上げた。 「あ……いや、悪い」 だって、笑ってた。 前に見た、友達に向けた不機嫌さの残る笑みとも、こっそりとはにかむような笑みとも違う。 楽しそうな、満面の笑顔。 俺には絶対向けてくれないもの。 「……槙ちゃん、ごめん。俺、帰るわ」 「え?あ、右京っ!」 槙の呼び止める声も無視して、教室を後にした。 なんだか知らないけどひどくショックで、俺はどうしても、その場に留まっていられなかった。  
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14263人が本棚に入れています
本棚に追加