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無心で歩いていたのに、気付けば家に着いていたから、習慣というものは恐ろしいなと思った。
いつもより重く感じる玄関のドアをひと思いに引き、まっすぐ自分の部屋へと向かう。
そして、部屋に入ると同時に鞄を床へ放り投げ、ベッドへとダイブした。
しばらく天井を見つめてから、ゆっくりと瞼を落として深く深呼吸をする。
すると瞼の裏に、彼女の、あどけない無邪気な笑顔がよみがえってくる。
俺はそれを振り払うように、慌てて閉じていた目を開き、体を起こした。
まだ心は落ち着かずに、ざわざわと騒がしい。
時々、ぎゅっと締め付けられるみたいに苦しくもなる。
とうとう本当に欠陥品になったのかもしれないと、少しばかり焦ってしまう。
だって、今までこんなこと、一度だってなかったんだから……
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