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「ウザッ。死ねば?」
うららかな昼下がり。
絡み付いてくる女の子たちを携えて、廊下を陣取る俺の頭上に吐き捨てるように、冷ややかな声が降ってきて顔を上げた。
校章の色から見るに1年生らしい、見ず知らずの女の子が通り過ぎざま、忌々しげに俺を見下ろしていた。
氷のように冷ややかで凍てつくようなその眼差しに射抜かれた俺は、何故かひどく彼女に興味を持った。
遠ざかっていく彼女の後ろ姿をただ大きく見張ったこの目に映して、このまま見送るだけなんて。
名前も知らないまま、“同じ学校の誰か”という認識だけで終わってしまうなんて。
そんなの嫌だと強く思った時にはもう、立ち上がって駆け出していた。
「待って!ねえ、君、名前は?」
彼女の折れそうにか細い手を取って、先を行くのを阻むと、彼女はさっきよりも一層表情を険しくさせて、俺をその尖った瞳に映した。
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