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「なんかさ、こう……心臓の辺りがギューッてなって、チクチクッてして、それからざわざわってするんだよね」
身振り手振り、擬音語だらけで、この不可解な体の不調を訴える。
清吾は頭がいい。
俺も引けを取らないと自負しているけれど、やっぱりお互いに得意不得意はある。
清吾は俺と違って常に冷静沈着で、分析力に長けているし、知識も豊富だ。
きっと清吾なら、俺には得体のしれないこの不調の原因を知っていて、打開策を見つけてくれるだろう。
「とりあえず、右京はもう少し表現力をつけるべきじゃない」
哀れむような目で俺を見てから、清吾は手元の本に視線を落とした。
「……で、これって何なんだと思う?」
パラッと、ページを捲る乾いた軽い音が俺の緊張を煽って、ごくりと息を飲む音が静かなその部屋に響いた。
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