14263人が本棚に入れています
本棚に追加
「生憎、あんたみたいな男に教える名前は持ち合わせてないの。さっさとこの汚い手、離してくれない」
女の子にお願いされるのは慣れているつもりだったけれど、ここまで高圧的なのは未体験だ。
勿論、素直に「はい、そうですか」と手を離す筈がない。
「やだって言ったら?」
試しにそう尋ねてみると、彼女は今にも噛み付きそうな勢いで、俺を睨み付けた。
まるで……そう、威嚇する猫みたいに。
「馬っ鹿じゃないの」
彼女はいきなり掴んでいる方の手を振り上げたと思うと、すぐさま勢いよく振り落とした。
そして、その反動に耐えかねた俺の手は、簡単に振りほどかれてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!