それを何と呼ぶ?

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「それで、恋というのは、だね」 再び椅子に腰を下ろした槙は、ゴホンと咳払いをしてみせた。 語調を変え、咳払いをしたところで威厳は皆無だけど。 「簡潔にお願いね」 とりあえず、話が長くなりそうな予感を察知して、そう釘を刺した。 すると、またしてもわざとらしい咳払いを返してきて、静かにと訴えているようだ。 「恋の始まりっていうのはね、相手の事がなんとなく気になって、その子の姿ばっか探しちゃうんだよ。その子が誰より一番可愛く見えるし、笑った顔を見たいって思うし、他の男と居るとムカつくし、ギューとかチューとかしたくなって、それから……」 「もういいよ」 手を突き出し、まだまだ続きそうな、そしてどんどん低レベルになっていく槙の講話を無理矢理遮った。  
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